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中学生ラグビー選手の成長を支える

保護者ガイド

中学生の時期は、身体の変化と、心の変化が同時に起こる時期です。身長が伸び、体のバランスが変わり、仲間や先輩との関係性も広がっていきます。「自分はこうなりたい」「でも、うまくいかない」そんな葛藤が、日々の中に自然と生まれる時期でもあります。・世界での広がり・日本での発展から物語をたどります。ラグビーは、技術や体力と同じくらい、心の成長を大切にするスポーツです。仲間と一緒に考え、助け合い、前へ進む。うまくいく日も、思うようにいかない日もある。そのすべてが、子どもにとって “成長の途中” にあることを意味しています。このガイドは、「こうしなければならない」、「もっと頑張らせるべき」という視点ではつくられていません。

ここにまとめる内容は、日本スポーツ協会(JSPO)、国立スポーツ科学センター(JISS)、World Rugby / NZ Rugby / JRFU などの、成長期アスリート支援に関する信頼できる考え方 を参考にしています。それに加えて、日々子どもたちを見守り、声を聞き、ときに一緒に笑い、一緒に悩んでいるOJRSコーチ陣の現場からの視点を重ねています。

岡山ジュニアラグビスクール2009-2025年.jpg

中学生期は「自信が育つ時期」

身体の成長と、動きの調整は同時に進まない

 OJRSジュニアラグビースクール

中学生の身体は、急激に変化します。国立スポーツ科学センター(JISS)の成長データによると、男子の身長は 12〜15歳 で最も大きく伸び、その後に 筋力・体幹・バランス能力が追いつきます。つまり、“身体が大きくなる時期” と“身体をうまく使えるようになる時期” はずれている。というのが、科学的な前提です。これは、ラグビーに限りません。サッカー、バスケ、陸上、すべて同じです。

 OJRSキャラクター
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中学生ラグビー選手の成長の過程

よく起こる変化(練習で本当に見るもの)

観察される変化
なぜ起こるか
子どもの内側で起きていること
走り方がぎこちなくなる
身長 → 先、筋力 → 後から
体をもう一度覚え直している
タックルフォームが安定しない
体重増+中心重心が変化
軸の再調整中
パスやキャッチの精度が上下
腕と体幹の連動が変わる
「前はできたのに…」と感じる
メンタルが不安定になる
身体イメージが揺れる時期
自信・評価・比較が入りやすい

この時期に「前より下手になってる?」「調子悪い?」と感じるのは、むしろ普通です。それは、成長にともなう “一時的な再学習” です。

成長の過程は
「段階」と「直線」ではなく「波」

 OJRSキャラクター
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成長は、まっすぐ上に伸びるわけではありません。

よくできる日と、そうでない日が自然に繰り返されます。

Wave like Growth of teens playing rugby

この「不安定期」をどう過ごすかで、その後の3年が大きく変わる。大切なのは “焦らないこと” ではなく“比べないこと”。比較は、子どもの「自己効力感」を直接下げます。他の子と比べる、昨日の自分と比べる、成長前の自分と比べる。すべて、成長の波を否定する方向へ働きます。

 OJRSキャラクター
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家庭でできるのは「評価」ではなく「気づき」

観察するポイント
見る理由
練習後の息の乱れ方
オーバーワークの兆候の把握
「できない」と言った後の表情
自信の状態を読むため
チームの中での声の量
心の余裕の指標になる
家での話し始めるタイミング
話したい時に聞ける姿勢が大切

「今日はどうだった?」ではなく、「何か一つ、良かったところあった?」と聞くと、子どもは自分の中の「前へ」を発見できます。これは多くの育成年代コーチが共通して使っているフレーズです:「できない日は、伸びる日の手前」。焦らなくていい。止まっているように見えるときも、内側では育っている。

 OJRSキャラクター
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 OJRSジュニアラグビースクール
speech bubble left

私たちは毎年、この「揺れる時期」を見ています。できなくなったように見えるときほど、成長は内側で進んでいます。その波を一緒に受け止めてもらえると、子どもはまた前へ進めます。

声かけと関わり方
「ありがとう」から始める応援

子どもが安心できる言葉は、結果より先に届く

岡山ジュニアラグビースクール練習様子

試合のあと、練習帰り、帰宅の玄関口。親の最初の一言は、子どもの心に深く残ります。それは「褒め言葉」よりも、「安心を伝える言葉」であるほど強く響きます。多くの指導者やスポーツ心理学者(例:日本スポーツ心理学会, Sports Coach UK) が共通して言うのは、中学生期の子どもに最も必要なのは「承認」ではなく「受容」です。試合の出来が良くても悪くても、その場に立った勇気をまず認めてあげること。

 OJRSキャラクター
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「ありがとう」から始まる会話の力

「今日はどうだった?」の代わりに、「今日もありがとう。」

この一言で、子どもの表情は緩みます。感謝は「あなたを見ていた」というメッセージになる。それが、子どもにとって最大の安心感です。

状況
言いがちな声
支えになる声
試合で負けたあと
「もっと頑張れたでしょ?」
「最後まで立ってたね、ありがとう。」
練習でミスをした
「集中して!」
「難しい場面だったね。次はどうしようか、一緒に考えよう。」
チームで静かだった
「なんで声出さないの?」
「今日は静かだったね。疲れてる?」
成長が遅く感じる
「○○君はもうあんなに強いのに」
「君のペースでいい。焦らなくていい。」

この「支えになる声」は、技術的な指導ではなく心理的安全の土台です。親が作るこの空気が、子どもの練習での集中力を変えます。子どもがうまく言葉にできないとき、沈黙の時間も大切な「対話」です。「話したい時に、話せる空気」を家に持っている子は、チームでも他者との関係を築きやすくなります。

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speech bubble right

私たちが練習後に「ありがとう」と言うのは、結果へのお礼ではなく、今日その場にいて、挑戦したことへの敬意です。保護者の皆さんの「ありがとう」が重なると、子どもの表情が変わります。

 OJRSジュニアラグビースクール
 OJRSキャラクター

中学生ラグビーのメンタルサポート

迷う日・うまくいかない日の支え方

週末の試合で生まれる感情を、平日に整える

岡山ジュニアラグビースクール試合様子

OJRSの練習は土・日(祝日によっては月)に集中しています。つまり、子どもの心のリズムは 「週末に負荷、平日に回復」 という波で動きます。このサイクルを理解しておくことが、家庭でできる最大のメンタルサポートになります。

 OJRSキャラクター
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試合後の48時間は

「心のクールダウン」期間

World Rugby と JSPO の指導要領では、試合直後〜翌日の感情整理 を「クールダウンフェーズ」と呼びます。試合中の興奮・緊張・失望は、身体と同じく神経系の疲労を生みます。


そのため、日曜夜〜月曜は“何も言わない勇気” が大切。

例:帰りの車内では結果よりも「お疲れさま、よく頑張ったね」だけで十分。

月曜は可能なら早く寝かせる。

食事中は「次はどうする?」より「何食べたい?」を。

これが「心の筋肉」を休ませる時間になります。

火〜木曜は“整理と

再構築”のフェーズ

JISSの研究によると、思春期のスポーツ選手は試合の2〜3日後に感情の波が再浮上する傾向があります。
例:悔しさ、やる気の低下、自信の揺れなど

そのため、火曜〜木曜は「どう感じた?」と軽く聞くタイミング。

「あの試合のこと、もう少し話してみる?」「どこが一番印象に残った?」

感情を言葉にすることで、脳の前頭前野が整理を始めます。
これが次の挑戦への“再構築プロセス”です。

金曜は“前向きリセット”の

合図を出す日

試合を控えた金曜は、軽いポジティブ刺激が効果的。心理学ではこれを「リフレーミングトーク」と呼びます。

例:「またラグビーの週末が来たね」

「明日はどんなプレーしてみたい?」

「仲間に会えるの楽しみだね」

内容より声のトーンと明るさが重要。家庭の空気が穏やかであるほど、試合前の集中力が安定します。

 OJRSキャラクター
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失敗した週末を「家族で回収」

負けた試合、うまくいかなかったプレー。落ち込みを“放置”せず、“共に回収”することが必要です。

タイミング
行動例
目的
試合後すぐ
「今日はありがとう」だけ伝える
感情の出口を作る
翌日(月曜)
食事中に軽く話題を出す
心の整理を促す
火曜〜木曜
「次にやってみたいこと」を本人の言葉で
自主性の回復
金曜
前向きな一言で締める
心の再起動

この「1週間リカバリーループ」を回すことで、試合を“成長の素材”として再利用できます。

 OJRSキャラクター
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家庭でつくる文化
「比べない・責めない・一緒に整える」

試合のあと、つい「○○くんは良かったね」と他の子を引き合いに出してしまうことがあります。しかし、比較は努力の意味を自分の外側に置いてしまう行為です。スポーツ心理学では、「比較よりも記録」が自信を安定させると言われています。たとえば、ラグビーノートに「今週できたこと」を本人に書かせてみましょう。声が出せた、1回目のタックルでトライを止めた、仲間に声をかけたなど。こうした“行動の記録”が、次の週末の自信に変わります。自分の努力を自分で確認できることが、内側からのモチベーションを育てます。

岡山ジュニアラグビースクール振り返りミーティング様子

また、チームでの挫折を家庭でどう扱うかも大切です。NZ Rugby や RFU の育成年代では、“Reflection, not Reaction(反応ではなく振り返り)” という原則があります。親がすぐにアドバイスをするのではなく、「どう感じた?」という“振り返りの問い”を渡す。この一言が、子どもの中に自己修正力を芽生えさせます。失敗を「終わり」ではなく「材料」にできる家庭は、心の耐久力が強い。

そしてもう一つ、親自身の心も整えることを忘れずに。週末の試合は、保護者にとっても感情の起伏の場です。うまくいけば嬉しいし、そうでなければ悔しい。その自然な感情を、家庭にそのまま持ち込まないことがポイントです。

試合後は、子どもの前で「疲れた〜!」と笑ってみせる

他の保護者と話して気持ちをほぐす

SNSなどでポジティブに振り返りを書く

それだけで、家庭の温度が下がり、子どもは「次の試合も大丈夫」と感じるようになります。子どもが安心して挑戦を続けられるのは、家庭に“比べない・責めない・一緒に整える”空気があるからです。

 OJRSキャラクター
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 OJRSジュニアラグビースクール
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土日の練習や試合で、子どもたちは本当に全力を出しています。だからこそ、月曜は“何もしない日”が必要です。火曜からまた少しずつ、前を向く力が戻ってきます。そのリズムを、家庭でも守ってもらえると嬉しいです。

中学生ラグビー選手の
成長期の身体と安全な上達

「強くする」よりも、「育てる」期間

岡山ジュニアラグビースクール遠征食事様子 Large

中学生の3年間は、身体の発達スピードが最も大きく変わる時期です。筋肉・骨格・神経系の成長は同じタイミングでは起きません。JISS(国立スポーツ科学センター)の発育データによると、男子の場合、身長のピークが12〜14歳、筋力のピークはその1〜2年後 に訪れます。つまり、ラグビーにおける「成長期の上達」は、強くなる前に、まず“整える”期間だと言えます。

 OJRSキャラクター
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成長期の体は「再学習中」

身長が急に伸びると、重心が変わり、走り方・踏み込み方・姿勢の安定が一時的に崩れます。この時期の子どもに「動きが鈍くなった?」と感じるのは、自然なことです。筋力が追いつくまで、神経系は新しい身体バランスを覚えようとしています。それを「再学習期」と呼びます。この時期に必要なのは「量」より「質」。無理に練習時間を増やすよりも、短く・丁寧に・反復を少なく・集中度を高く。OJRSの練習は、土・日(祝日によっては月) に集中しています。そのため、身体のリズムは以下のように考えると安全です。

曜日
身体の状態
家庭でのサポート例
土曜
トレーニング負荷(筋・関節に刺激)
朝食に炭水化物+果物でエネルギー補給。夜は湯船で体温回復。
日曜
試合または高強度練習
夕食にタンパク質・水分・塩分をしっかり。睡眠は早めに。
月曜
クールダウン期(体内疲労の蓄積)
無理に運動させず、睡眠確保を最優先。軽いストレッチだけでOK。
火〜金曜
成長・回復期(超回復フェーズ)
栄養・姿勢・睡眠・気分変化を観察する時期。

このリズムを理解していれば、「練習がない平日に何をすればいいか」が自然に見えてきます。

 OJRSキャラクター
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「休ませる勇気」と「整える目」
成長期の身体を守るために

World Rugbyのジュニア安全指針では、「成長期における過度な反復接触練習」は、怪我とバーンアウトの主要因とされています。タックル練習を何度も繰り返すことや、対人プレッシャーを過度に強めること、成長痛(膝・かかと・腰)を我慢させること。これらは、一時的に成果を生むように見えても、長期的には運動嫌悪や慢性障害のリスクを高めます。中学生期の身体はまだ完成していません。「強さ」を急いで作るより、長く続けられる身体を育てるほうが結果的に強い。これが、JISS(国立スポーツ科学センター)や JSPO(日本スポーツ協会)が共通して伝えるメッセージです。成長期に大切なのは、「強くなる練習」より「整える練習」。そのために意識したい3つの柱があります。

姿勢
Posture

成長期は身長が先に伸び、筋力やバランスが追いつくまでに時間がかかります。この時期の姿勢崩れは、フォームや安定感の乱れにつながりやすい。


「正しい立ち方」「スクラム前の重心」「パス時の体幹」など、姿勢を意識した基礎動作を積み重ねることが、安全と上達の両立になります。

ラグビー 後ろへつなぐ.webp

バランス
Balance

スポーツ庁も推奨する「バランス能力は、怪我予防の第一歩です。片足立ち、ラダー練習、一輪車、バランスボールなど、
遊びの延長でできる動きが、ラグビーの動作基盤になります。

家庭での軽いチャレンジでも十分に効果があります。

ラグビー 相手を止める.jpg

動きの質
Quality of Movement

スピードや筋力よりも大事なのは、“滑らかに動く”こと。動作の滑らかさは、神経発達のサインであり、ケガの少ない身体づくりにつながります。


練習前のウォームアップや体幹ドリルを、家庭でも5分だけ一緒に行うだけで、
身体の準備が整い、集中力も高まります。

 OJRSキャラクター
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親が気づける「オーバーワークのサイン」

どんなに安全指導をしても、家庭での観察が欠けると小さな変化を見逃してしまいます。JISS・JSPO のスポーツメディカル部門では、成長期アスリートに見られる過負荷の兆候を次のようにまとめています。

サイン
意味すること
家庭での対応
朝なかなか起きられない
神経疲労・睡眠不足
就寝時間を30分早め、朝の支度を急がせない
食欲が落ちる
回復エネルギー不足
炭水化物・果物・水分を増やす(食べさせようとしない)
笑顔が減る・無口になる
精神的オーバーロード
練習を1回休む勇気を持つ
肘・膝・かかとの痛み
成長痛・筋付着部炎
痛みが2日続く場合は必ず休養優先

このような小さなサインを、「やる気がない」「怠けている」と判断せず、身体の声として受け止める。それが、親にしかできない一番のサポートです。声をかけるよりも、まず「今日はちょっと違うな」と感じ取る。その観察力が、子どもの安全を守る最高のセンサーになります。

 OJRSキャラクター
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成長期は、体の中でたくさんの変化が起きています。「頑張らせる」より「休ませる」。そして「整える」を意識してもらえると、子どもたちは驚くほど安定します。続けられる身体が、一番強い身体です。

 OJRSジュニアラグビースクール

専任コーチの声
元田コーチ

中学生ラグビー選手の栄養・睡眠・回復
食べて・休んで・強くなる

子どもの体は、練習中ではなく練習後に育ちます

岡山ジュニアラグビースクールグラウンド挨拶様子 Large

JSPO(日本スポーツ協会)やJISS(国立スポーツ科学センター)の調査でも、成長期アスリートに最も影響するのは「栄養」「睡眠」「休養」の3要素です。週末にラグビーへ全力を出すためには、平日の過ごし方がカギになります。

 OJRSキャラクター
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中学生ラグビー栄養の基本3要素
難しく考えない“色のバランス”

中学生期の理想的な食事は、高価なサプリやプロイティンシェークではなく家庭の食卓で十分です。

要素
目的
主食(エネルギー源)
ごはん、パン、うどん、バナナ
試合や練習で動くためのガソリン
主菜(タンパク質)
魚、肉、卵、豆腐
筋肉・血液・骨の回復
副菜(ビタミン・ミネラル)
野菜、果物、味噌汁
体調維持と免疫力アップ

目安は「3色+1品(果物か牛乳)」の意識で十分。JSPOでは「食事の質=量×バランス」としており、完璧よりも継続が大切です。

 OJRSキャラクター
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1週間のリカバリーリズム
「主食・主菜・副菜」で支える練習回復サイクル

ラグビーの練習で使ったエネルギーを「取り戻す力」は、食事の中にあります。OJRSでは、主食=動く力/主菜=修復する力/副菜=整える力という考え方を大切にしています。この3つのバランスが取れていると、子どもの体は週末の練習から自然に回復し、次のプレーでまた前へ進む準備ができます。その循環を具体的に見える形にしたのが、下の「リカバリーサイクル」です。JISSとJSPOのガイドラインに基づき、家庭での食事・水分・睡眠を48時間単位で整理できます。

タイミング
やること
主食・主菜・副菜の関係
練習前(2〜3時間前)
主食+主菜+少量の副菜
ごはんやパン(主食)でエネルギーを作り、卵や魚(主菜)で筋肉を守る。野菜や味噌汁(副菜)で体調を整える。
練習30〜60分前
軽い糖質補給
主食にあたるエネルギー補給。バナナ・ゼリー・小さいおにぎりなど、消化の良いものを少量。
練習中(15〜20分ごと)
水分+電解質補給